ザトシ「これは長期戦が予想されるなー。
    ぜんぜん決着がつかねぇ…。」

 ザトシと陣の対決が始まってから約40分が経過。
 両者の実力は互角、まだ勝敗が決まっておりません。


陣「ふん、これくらいでいいだろう…。」

 すると彼、いきなり部屋端の天井にある監視カメラの方に
 目を合わせ、こんな事を言い始めたんですわな。

陣「こんなもんでどうでしょうか。ザトシの強さ、
  分かっていただけましたか…?」

 そしてスピーカー越しに返答の声が聞こえたのであります

お偉いさんA「はっはっは、すばらしいね。
         予想をはるかに超える強者だね。」

お偉いさんB「へぇ、これは納得の強さだ。陣を相手に
         ここまで戦える者は珍しい。」


ザトシ「…あれ?この状況、たいして理解できないんだが。
    こりゃ一体どういう事ぉ?」

陣「まぁ理解でないのも無理はないな…。
  …そもそも、コトのほったんは会議での俺の発言でな…


 ~~~~ 会議での出来事 ~~~~
 ※同所にいる人物【陣・その他のお偉いさん】

 お偉いさんD「では、デューヲの対処はもうお決まりですね。
          他国に迷惑がかからない様に国を空に打ち上げ
          孤立した状態にし、そこでドンパチ戦うというのでOKですな?」

 お偉いさんB「大賛成です。完璧な作戦だと思いますよ。」

 お偉いさんC「ちとお待ちを。ちょっと気になる事が…。」

  そこでCはある問題点を指摘した。
  "国民に多少の危害がふりかかる可能がある"という点だ。
  空に打ち上げられたラインハル、そこは完全な閉鎖空間となり、
  簡単に逃げることはできない。…デューヲと共に閉鎖空間で過ごすのは、
  ライオンがいるオリに閉じ込められたのと同じであり、かなり危険…。

  そこで俺はこんな案を出した。

 陣「…国民の中でデューヲによる負傷者が出る前に、
   さっさとデューヲ自体を早く倒してしまえば、
   その事態を防ぐことは可能かと思います。
   …ですが、我らラインハル国の軍隊のみの戦力で
   デューヲの早期討伐は絶対に不可能でしょう。
   そこで、"ある者"を戦力に加えれば、間違いなく
   デューヲの早期討伐が可能になるはずです。」

 お偉いさんA「"ある者"…?」

  Aはそのある者とは何かを俺に尋ね、そして俺はこう答えた。
  …"ザトシという者です"、と。

  だが国家のプライドとしてか、会議に出席していた要人の
  多くはそれに反対。…どうしてもラインハルの者だけで
  デューヲの討伐を達成したいらしい


 陣「…ならば、俺がザトシの強さを証明しましょう。
   まずは彼の強さを見てください。…彼をこのラインハル地下
   まで誘導し、俺が直接彼と戦いますので、監視カメラ越しで
   その戦いをご覧になってください。そうすれば彼の強さが分かるでしょう。
   それさえご覧に入れればその考え…変わるかもしれません。」

  そう言って俺は席を後にした

 ~~~~~~ 終わり ~~~~~~


陣「…という事だ。だいたい理解できたか?ザトシ。
  あと言い忘れていた事がある。
  …お前はサモン支配区で俺が落としたあの紙を
  頼りにここまで来たはずだが、実はその紙、
  完全な作り物だ。…それはお前をラインハル地下まで誘導
  するためだけに作った偽物の会議招集の手紙…。
  頑張って分かりやすい地図までつけて
  あげたんだからな…感謝しろよ。」

ザトシ「もしかしてその場を立ち去る際に
    あの紙を落としていったのもワザとだったり?」

陣「…もちろんだ。俺が大事な手紙を無くすといった
  ミスをすると思うか…?まず有り得ないだろう。
  …とにかく、お前に協力を頼む。デューヲ討伐に
  力を貸して欲しい。」

ザトシ「もちろんOKだぜ。とにかく、早くデューヲを
    倒せば、亡命しそこねた国民に危害がふりかかる事は
    無いんだな。」

陣「…もうじきジェットエンジンが完全に起動する…。
  ラインハル打ち上げまで後1時間もないだろう…。」

ザトシ「よーし、きたるデューヲとの戦闘に備え、
    今はゆっくりと休んでおくかー。」

BGM:VGMusic
曲名:Zoo(Eek! The Cat)