※同所の人物【セットマグマ】※

セットマグマ(この様子だとザトシ達はもう部屋から出て行ったな。
       さて、自分もそろそろ部屋を出るか。)

 溶岩の下に潜っていたセットマグマは、ザトシ達の退室を確認。
 そして上方に向かって泳ぎ、陸に手をかけます

セットマグマ(さっきのシスターの話いわく、神殿内にジュニア様
       はいないのかぁ。はぁ、人の生命反応は、5人だけ
       だったらしいからなぁ。…ん?)

 上がろうとした矢先、彼の視界に黒衣の男性が映りました。
 その男は、セットマグマに対し手を差し伸べています

 その好意に甘え、その男の力を借りてセットマグマは上陸。
 そこで、彼はその見知らぬ黒服に軽い言葉で挨拶を

セットマグマ「やぁ…ありがとう。誰だい、君は?」
???「あきれましたね、復活を待望した張本人から"誰あんた?"とは…。
    …マコレフス=ジュニア。名前くらい聞けば私が誰か分かるでしょう。」
セットマグマ「ジュニア様!?さ、さきほどの非礼はこれ、あの…。」

 今さっきの無礼への謝罪の言葉を考えるのも、何も思いつかず黙ってしまう彼

ジュニア「ま、水に流しましょうかそれは。部下の非礼には厳しい罰を
     与えるのが私のやり方ですが、まだ1回目ですので許しましょう。」
セットマグマ「ええ、あ、ありがたいです…はい。いやぁ、復活を喜びたい所ですが、
       ちょっと気が動転しておりましてあまり言葉が出ないですね…。」
ジュニア「…私もちょうどさっき、表の世界に出ようかなと思い立った所です。
     まさか姉上がねぇ…。」
セットマグマ「ジュニア様の姉…、シスターの事でしょうか?
       彼女がどうかしましたか?」

ジュニア「伯爵家の決まりでは、女の赤ん坊が生まれた場合、即その
     赤ん坊を捨て子にしなければいけないのです。(No.54参照)
     施設に預けるなどといった甘い事ではありませんよ。樹海の中に
     捨てて鳥や虫のエサにするなどの"殺害"とも言える行為により
     その赤ん坊を消すのです。
     "マコレフス"という名誉の姓を、むやみに女性に与えることは
     伯爵家では禁忌ですからねぇ。」
セットマグマ「なるほどなるほど。」
ジュニア「ゆえ、シスターは今頃、死んでいなければいけないのですが、誰かが
     勝手に拾って育てたのか今も生きている、マコレフスの姓を持ったままね。
     …そんな存在するだけで伯爵家の不名誉となる者を生かすわけには行かない。
     そこで伯爵家はシスターを血眼になって探し、対するシスターも隠居生活で
     耐えしのいでいた2年前…。
     しかし現に彼女は先ほどここに来ていましたね。しかも少年(ザトシ達の事)と
     友人のごとく接してもいました。
     …表の世界に顔を出さず、誰とも縁を持っていなかった2年前とはまるで違う。
     そう、これは"伯爵家の勢力が弱くなり、彼女にとって脅威ではなくなった
     ゆえ外の世界でも普通に生活できる余裕が出来た"としか言いようがない。
     …これはまさに、伯爵家の弱体化を象徴する事態でしょうねぇ。」
セットマグマ「なるほど、さきほど来ていたシスターの様子を見たジュニア様は、
       伯爵家の弱体化を察した。そしてその憂いから、表の世界への復帰
       つまり復活を思い立ったという事ですね。」
ジュニア「ま、そういうことになります。」

セットマグマ「それなら話が早いですね。私がジュニア様の復活を望んだ理由は
       それに関連しております。私もその弱体化に憂いを抱く1人、
       私の察するところ、その弱体化の始まりはジュニア様が姿を消した
       2年前から始まっております。ならば、ジュニア様の伯爵家復帰
       を成せば再びの栄華を取り戻せるかなと単純計算したのであります。
       …そうすれば私の憂いは晴れるかな、伯爵家の未来は保障されるかな、と。」

ジュニア「シンプルながらも美しい論理ですねぇ。なるほど、あなたと私の思惑は
     一致している、共に"伯爵家の再起を図りたい"といった指針でしょう。
     ゆえ、協力が容易。だからあなたは言った、"それなら話が早い"…と。
     …ま、同じ憂いを持つ者同士がんばりましょう。さて、さっそく
     会議と行きましょう。まずはここで、急を要する事項のみまとめましょう。
     熟考すべき事項は伯爵家本部に帰った後に話し合います。」
セットマグマ「了解です。」

 やる事が早いジュニア、さっそくその場で今後の方針決定の一部を取り掛かります。
 そして話はどんどん進み…

セットマグマ「出た結論をまとめますね。まずはひとつ、"赤狩りモンスターを
       戦闘員として利用"…」
ジュニア「彼らは私と同じく赤狩りです。お互いに赤の共鳴で繋がっている。
     私なら彼らを手なずけ、部下として徴用する事も可能でしょうねぇ。」

セットマグマ「2つ目、"かつて制圧していた土地を取り戻す"…」
ジュニア「勢力の衰退ゆえ、現地の抵抗グループに負けて手放してしまった土地が
     あるようですねぇ。まずはそこの取り返しと行きましょうか。」

セットマグマ「そして最後、3つ目"戦闘員の整理"…」
ジュニア「上級幹部などのグループ構成を一新しましょうか。
     不適だと思った者を切り捨て、それを埋める形で他から優秀な人材を引き抜く…。
     …この3つが現時点で急を要する仕事。さ、伯爵本部に帰るとしますか。
     これらの達成を急ぎましょうねぇ。」

セットマグマ「ええ、そうしましょう。」
      (あれ?何か聞き忘れていることがあるような…。
       何か、もやもやするなぁ。)

 ちなみにその疑問とは、"赤の神殿にジュニアがいるのは本当だった。
 でもどうして、さっき人の生命反応は5人だったのだろう。ジュニアも含め
 6人という結果が出るはずなのに"という事。

 確かに不自然に感じる点ですが、さっき感じていたこの疑問を思い出せず
 彼はこれについて聞きそびれたのです


BGM:VGMusic
曲名:別館-”静かな狂気”(悪魔城ドラキュラ黙示録)