BGM:nerve(雑音空間)
曲名:Selene
nerve(雑音空間)

中間ストーリー8~血と涙~

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~~レッドマウンテン・戦場~~


メタルセイバー「なかなかやるな・・・」


レグルス「前より確実に強くなってやがる・・・どうすべきか・・・」


メタルセイバー「・・・ノーザンバレーの俺の屈辱をそのまま返してやるよ。
       メタリック・スタッブ!!」


メタルセイバーは剣でレグルスを突こうとする。


レグルス「んなもん・・・簡単に避けられるぜ!(素早く移動」


メタルセイバー「・・・ww」


ヒュッ・・・


レグルス「!?」


何かがレグルスの四肢に絡みつく。
それは・・・メタルセイバーの義手から伸びているナイロンケーブルだった。


メタルセイバー「これで貴様は・・・逃げられないぞ。」


レグルス「卑怯な真似を・・・!!」


メタルセイバー「虫けらを一匹殺すのに卑怯も何もあるものか。
       メタリック・・・」


その時・・・地が揺れた。
周囲を一時の静寂が包んだ直後・・・


ズガァァァァァン!!


メタルセイバー「・・・何だ!?」


レグルス「火山が・・・噴火した・・・」


余りにも突然の出来事であったが、2人とも自分の置かれた状況はすぐに理解できた。
"・・・ここにいると死ぬ。"


メタルセイバー「フ・・・この噴火であふれ出たマグマがトロい帝国軍兵士を焼き尽くしてくれるだろうww
       俺はここで去るとしようかww」


レグルス「ま・・・待て・・・ケーブルをほどけ!!」


メタルセイバー「おっと。忘れてたなww」


メタルセイバーはケーブルを義手から外した。
勿論レグルスの腕と足にはケーブルが絡まったままだ。


レグルス「貴様・・・」


メタルセイバー「苦しんで死にな!!(去る」


レグルス「くそ・・・!!」


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~~その頃のマーキュリー~~


帝国軍兵1「な、何だ!!」


帝国軍兵2「音からして・・・まずいぞ・・・」


マーキュリー「俺達は麓で待機していたから無事に脱出できそうだ。
      だが上で戦っている連中は下手すると全滅だろうな・・・」


帝国軍兵1「我々は撤退すべきですが・・・
     ブライアン様に報告しますか?」


マーキュリー「放っておけ。あのクズが死ねば第五大隊長は俺になる。
	  (フ・・・上手くいけば奴だけじゃなくシルバーも消えるな。いいザマだwww)」


帝国軍兵2「貴様ァ・・・」


マーキュリー「奴がここにいない今は俺が第五中隊で最高の権力を持つ。
      減らず口を叩かないように気をつけろww」


帝国軍兵2「・・・イェス・サー。」


マーキュリー「では撤退だ。隊列を崩さずに急いで進め!」


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~~その頃の浩二~~


浩二「そんな・・・この僕が・・・(倒れる」


シルバー「俺もあれから実戦を重ね、戦闘能力を上げたのさ。
    ・・・ん?この爆発音は・・・噴火か?」


浩二「・・・(よろめきながらも起き上がる」


シルバー「まあいい。撤退するのは一仕事終えてからだな!!」


バキッ・・・(浩二の鳩尾を強く蹴る


浩二「がはぁ・・・」


シルバー「兵士共、こいつを捕縛しろ。」


帝国軍兵達「了解しました・・・(一斉に浩二に掴みかかる」


浩二は抗う余力も残っておらず、あっさりと捕縛された。


シルバー「さっきまではここでこいつを殺そうと思っていたが、
    本部までしょっぴいてエミーと並べて死刑にするのも面白そうだ。
    何せ俺の功をアピールできるしな。ハハハ・・・」


浩二「う・・・くそ・・・」


シルバー「戦艦は用意してある。即座にそれに乗り込み、撤退だ。
    ・・・勿論、獲物を乗せるのも忘れるなww」


帝国軍兵達「イェス・サー。」


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~~その頃のハルバート~~


ハルバート「くそ・・・まるで歯が立たない・・・」


ブライアン「全く進歩していないようだな。
     さて・・・」


ズガァァァァァァァァァァン


ハルバート「何だ!?」


ブライアン「・・・噴火だと?」


ハルバート「大したことはないだろう。戦いを続ける!!」


ブライアン「・・・自然の猛威を知らない愚か者め。
     いずれその身を滅ぼすだろうなww」


ハルバート「ワケガワカリマセンヨアナタ。ニゲルキデスカww」


ブライアン「言っておくが貴様に敗北したのではない。
     俺は自然に屈したんだ。」


彼は戦車に乗り込んだ。


ハルバート「マヂデニゲルキカヨww
     まあいい。今回は見逃してやろう。
     しかし俺達を軽んじたあの言葉は忘れないぞ。
     次こそ決着をつけてやる。」


ブライアン「・・・望むところだ。
     だが今はここから離れるのが先。俺は去るとしよう。」


彼は戦車と共に、素早くその場を離れた。


ハルバート「・・・ハッハッハww
     あそこまで臆病者だとはwww
     まあいい。まださほど危険ではなさそうだ。
     浩二達を探しにいくとしよう・・・」


~~数メートル先~~


ブライアン(・・・哀れな奴だ。自己の力を過信しすぎている。)


ピピピピピ・・・


ブライアン「通信か・・・さてはシルバー達も撤退命令を出したか?」


ピッ


シルバーの声「モシモシ。なんか火山が噴火したっぽいぞ。
      俺らはもう飛行艇に乗り込んで退却準備をしてるからな。
      お前も死なない内にかうぇれ。」


ブライアン「言いたいことはそれだけか。」


シルバーの声「・・・オット忘れてた。旧防衛軍の一人とエミーを反逆罪で逮捕したぜ。」


ブライアン「俺が聞きたいのはそういうことじゃない。
     マーキュリー達はどうした?」


シルバーの声「あ?シラネーヨww
    先に尻尾巻いて逃げ出したんじゃね?」


ブライアン「・・・まあいい。奴が見つかるまで第五中隊は俺一人が統率しよう。」


シルバー's voice「ふーん。
        マアイイヤ。切るぞ。」


ピッ


ブライアン(・・・暗号送信機で機甲部隊に撤退を命令しておくか。
      被害が大きくなる前にな・・・)


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A.M 5:00・・・
レッドマウンテンの中心に位置する火山が大規模な噴火を起こした。
それは周囲を飲み込む火砕流を発生させ、帝国軍は撤退を余儀なくされた。
・・・今戦っている旧防衛軍の6人、そして十二使徒も然りである。


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~~その頃のカルロス~~


スティーヴ「火山が噴火するとはな・・・厄介なことになった。」


カルロス「くそ・・・」


スティーヴ「どうした?このままだとレッドマウンテンの市民が全員死ぬぞ。
     正義を守る人間であるお前はまさか見捨てはしないだろうがなww」


カルロス「チッ・・・勝負は今度に預けよう。
    今俺が去ったところで貴様は虐殺を行う猶予などないのだからな。」


スティーヴ「確かにその通り。殺戮は自然の憤怒に任せ、俺は去るとしよう。」


2人は別々の方向へ走り出した。


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~~その頃のメグ~~


θ「((( ゚д゚)))ナニデスカイマノオト」


メグ「火山が・・・」


θ「これは戦っている場合ではなさそうだ。
 ミナサイヨあの火砕流。シンジャウデショ。」


メグ「え?炎属性を極めたとか豪語してたあんたが火砕流怖がるの?」


θ「・・・(怒りを抑える
 また決着がつかなかったな。次こそは!!」


メグ「私もそのつもり♪」


θ「オボエテイロ・・・」


θは去った。


メグ「そういえば浩二とかハルバートはどうしたかな・・・探しにいこう。」


「ソノヒツヨウハアリマセン」


メグ「でた・・・」


ハルバート「やれやれ、ここにいたのかよ・・・」


メグ「とにかく浩二を探して早く下山しよう。かなり大変なことになってるよ。」


ハルバート「分かってるって。」


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~~その頃のグレッグ~~


モーガン「さて・・・この一撃で貴様を葬り去ってやる。」


グレッグ「来い。こっちもお前に対抗するべく、新技を考え出した。」


モーガン「それはどの程度のものかな?
    少なくともこれを打ち砕くことは出来ないだろう。
    エネルギーショット-Destroy-!!」


グレッグ「またその技か・・・
    ならばこちらも・・・蒼岩・尖魔弾!!ズグワァァァァァァァァン!!


瞬時の静寂が辺りを飲み込んだ後、勝敗は決まった。


グレッグ「ぐっ!!」


モーガン「糞が・・・」


技は・・・双方に直撃した!!


グレッグ「ぐおっ・・・(吐血する」


グレッグは自らの体を見て驚いた。









・・・下半身の左半分、
そして左のわき腹や腕などが
吹き飛んでいる。


グレッグ「馬鹿な・・・ぐ・・・」


しかし・・・重傷を負ったのはグレッグだけではなかったのである。


グレッグの攻撃の狙いは恐ろしいほど正確であった。


モーガンは攻撃を諸に・・・それも






・・・頭に喰らったのだ。


おびただしい血が双方から流れ出る・・・





即死には至らなかったものの、
顔の右半分が消えてなくなったモーガンはもう虫の息だった。


モーガン「・・・た・・・楽しかったぜ・・・グ・・・レ・・・・ッ・・・・・グ・・・・・」





彼は地面の亀裂までよろめきながら歩き、








・・・力なく落下した。


グレッグ「・・・」


残されたグレッグも勝利を喜ぶことすら出来ず、その体は地に倒れる。
・・・彼はひそかに、自分の最期の時を感じ取っていた。


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~~同刻・カルロス視点~~


カルロス「レグルスはどこだ・・・早く助け出さねば。」


兵士1「少佐!早く逃げましょう!」


カルロス(兵士いたんだっけww)


兵士2「ん・・・あれは!?」


カルロス「・・・レグルス?
    馬鹿な。縛られてるぞ・・・」


そう・・・レグルスは縛られており動くこともままならなかったのだ。


レグルス「少佐!!」


カルロス「待ってろ。今ほどいてやる。」


彼はレグルスの方に向かい、ナイロンケーブルをほどいた。


レグルス「ありがとうございます。少佐。」


カルロス「礼はいい。早く撤退しよう。」


レグルス「待ってください。他のメンバーは?」


カルロス「全員死ぬより俺達だけでも助かった方がいいだろ?」


レグルス「・・・」


カルロス「あいつらなら大丈夫だろうww」


レグルス「せめてグレッグ大佐に連絡を・・・」


カルロス「あんな奴どうでもいい。今は逃げるのが先だ。」


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戦いは混乱を極め、多数の屍が戦場を埋め尽くしていた。
この戦いではベテランであるモーガンが戦死し、
旧防衛軍の大佐、グレッグも重傷を負った。
そんな中、あの男が姿を現す・・・



刹那。
更なる悲劇が幕を開ける・・・


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~~その頃のブライアン~~


ブライアン(もうそろそろ山麓だ。
     ここまで来れば・・・ん?)


突如・・・アザトホースの前に何者かが現れた。
しかしフロントガラス越しではその正体を知ることは出来ない。


ウィーン(フロントガラスが開く


ブライアン「そこにいるのは誰だ。轢き殺されたくなければ・・・」


???「減らず口を叩くな・・・」


ブライアン「・・・ぐっ!!」


突如・・・ブライアンを激しい眩暈と頭痛が襲った。


ブライアン「何をする・・・!!」


???「フッフッフ。その片目を開けて私を見るがいい。」


ブライアン「・・・貴様・・・ヴァイパー!!」


その声に掻き消されるかのごとく、ヴァイパーを取り巻く暗黒のオーラが消え去った。


ブラック・ヴァイパー「・・・だんだんと記憶が蘇ってきたか。」


ブライアン「・・・!!」


途端・・・彼の脳裏を様々な記憶がよぎった。


ブライアン「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ブラック・ヴァイパー「さあ、お前がいるべき場所が分かっただろう?
          ダークマターに戻って来い!!」


ブライアンは直ぐに冷静さを取り戻した。その為記憶は完全には蘇らなかったのだろう・・・
彼は即座に反論した。


ブライアン「・・・断る。」


ブラック・ヴァイパー「フ・・・まあいい。今回私が来たのは別の目的のためだ。
          もう一人の"部下"・・・いや、そうなる筈だった男がここに来ている。
          私はそいつにある"仕掛け"をしておいたのだ。
          今それを試さずにいつ試すww」


ヴァイパーは風の如く去った。


ブライアン(俺は・・・何者なんだ・・・)


アザトホースは早めに下山すべく、再び動き出した。


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A.M 5:10。ブラック・ヴァイパー現る。

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~~その頃のグレッグ~~


グレッグ「ぐ・・・まだまだ・・・(右手を駆使して這う」


彼の周りには味方は愚か敵すらいない。
誰も彼に手を差し伸べることはなく、ただ時ばかりが過ぎていく。


グレッグ「・・・」


・・・彼の動きが止まった。
その時・・・



「レグルス。お前は向こうの道に行き、浩二達を探して来い。
俺は先に、兵士と共に下山する。」
「了解。健闘を祈ります。」
「身が危なくなったら下山しても構わんぞ。」
「・・・」

カッ・・・カッ・・・


カッ・・・カッ・・・


グレッグ「革靴の足音・・・そして・・・その銃。
    カルロス!!」


グレッグと目が合った男は顔を背けた。
当然といえば当然かもしれない。
グレッグの左半身の肉は焼け爛れ、
肋骨などの骨がむき出しになっていたのだから・・・


カルロス「大佐・・・」


グレッグ「少・・・佐・・・助けて・・・くれ・・・」


カルロス「・・・断る。」


グレッグ「な・・・何故だっ!!」


その声と共に彼の口から血が溢れ出す。


カルロス「・・・」


黙っている間、カルロスはグレッグの発言のことを思い出していた。


カルロス「何故助けないか・・・簡単だ。
    時代は変わったんだよ。
    あんたのような実力の伴わない偽善者が俺達に指図する資格はない。」


グレッグ「嘘だ・・・俺は・・・」


彼の右目からは涙が・・・
潰れた左目からは血が流れ出た。


カルロス「・・・くっ!!」


グレッグ「助けてくれ・・・助けて・・・お願いだ・・・俺を・・・」


彼は力を振り絞り、カルロスの足元まで這い進んだ。


カルロス「う・・・」


グレッグ「助けろ!!」


ガシッ・・・


カルロス「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


グレッグの右腕がカルロスのズボンを掴んだ。
カルロスは得体の知れない恐怖に駆られ・・・


発砲した。


カルロス「離れろ!離れろぉぉぉぉぉぉ!!」


彼のズボンが血で赤く染まった。


グレッグ「ぐ・・・おっ・・・」


カルロス「手を放せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


カルロスは無我夢中に発砲し続ける。
グレッグは声すら上げることも出来ぬまま、弾丸を身に喰らう。


カルロス「ぐっ!?」


突然・・・グレッグの周囲にバリアが張られた。
それはカルロスの銃弾を跳ね返し・・・彼の右手を射た。


カルロス「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


彼は怒りに身を囚われ、グレッグを蹴飛ばした。


最後の力を使い果たしたグレッグは・・・
手を放した。


カルロス「・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」


カルロスはおぞましい叫び声を上げ、走り去った。
そこに残されたのは、原形すらとどめていない大佐の遺体のみだった。


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~~その頃のメタルセイバー~~


メタルセイバー「ここまで来ればもう大丈夫だ・・・」


彼の目の前には帝国軍兵の死体、機械への残骸が散乱している。
しかし・・・その他に・・・


メタルセイバー「・・・何だあれは?」


黒いオーラを発する"誰か"がいる。


メタルセイバー「誰だ!?」


「フッフッフ・・・久しぶりだな・・・
我が最大の失敗作よ!!」


メタルセイバー「・・・ぐっ?お前!!」


「ハハハハハハ・・・」


突如・・・恐ろしい光景、おぞましい実験の記憶が蘇った。
メタルセイバーは頭を抱え、その場にうずくまった!!


メタルセイバー「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「覚えているかね?この私、ブラック・ヴァイパーを・・・」


メタルセイバー「ぐぅ・・・」


ブラック・ヴァイパー「貴様を改造し、強くした張本人を!!
          覚えているか!!」


メタルセイバー「ふざけるな・・・貴様ァ!!」


ブラック・ヴァイパー「お前は今、ナイトメア・ウィザードなどというくだらん組織に属しているな?
          だが・・・今度こそ我が部下になるべき時が来たと思え。」


メタルセイバー「や・・・やめろ・・・実験・・・」


ブラック・ヴァイパー「貴様が破壊衝動のみに支配される魔獣になる前に・・・
          一つ、面白いことを教えてやろうか。
          お前の遺伝子を改造したときに・・・他の隊員には施していない細工をしたんだ。
          ・・・機械と同化し、操る能力を与えてやったのだよ。」


メタルセイバー「やめてくれ・・・お願いだ・・・」


ブラック・ヴァイパー「Cell-Stimulation!!」


メタルセイバー「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


凄まじい光を放ちながら・・・メタルセイバーは姿を変えた。
そこに残ったのは一つだけの目がついた、黒く歪な塊であった。


ブラック・ヴァイパー「フッフッフ・・・流石にこのままでは弱いであろうから・・・
          お前と融合させるマシンを造ってきた。」


すると・・・二足歩行の兵器が空から現れ、着地した。


ブラック・ヴァイパー「さて・・・このマシンのコアと融合してもらおう!」


黒い塊は這い、機械の頭脳となる"コア"と融合した。


ブラック・ヴァイパー「上出来だ・・・ww
          これでお前は完全に私の部下となったため、
          昔与える予定であったコードネームを与えよう。」


ウィィィィィィィィィィン(起動音


ブラック・ヴァイパー「さあ、行くがいい・・・
          セレニウム・ホーク!!」


マシンは咆哮のような音を立て、飛び立った。


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A.M 5:20。セレニウム・ホーク起動。

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~~その頃のハルバート達~~


ハルバート「嘘だ・・・誰もいないぞ!?」


メグ「結構歩いたのに・・・」


ハルバート「おかしいぞ・・・
     ・・・うっ!何だこの臭いは!?」


メグ「うわ・・・気持ち悪い・・・」


ハルバート「肉の焦げた臭いと髪が焼けた臭いが合わさった感じだ。
     駄目だ・・・吐き気がする。早くここを離れよう・・・」


メグ「・・・」


ハルバート「・・・どした?」


メグ「この亀裂の底・・・」


ハルバート「臭いの元はここか・・・誰か落ちたのか?(覗き込む
     ・・・うっ!?」


亀裂の底ではマグマが鈍く光り、人の形をした黒い塊が浮いていた。


メグ「・・・誰だろう?」


ハルバート「ここに落ちている銃、十二使徒モーガンのものだぞ?
     ってことは・・・」


メグ「十二使徒は残り9人・・・ってことね。」


ハルバート「しかし複雑な気分だな・・・
     いくら虐殺者でも、この死に方はひどい。」


メグ「ちょっと待って・・・あそこに誰か倒れてる。」


ハルバート「そっちもかよ・・・
     お、さてはそこに倒れてる奴がモーガンと相撃ちしたってことか?」


メグ「うそ・・・いやだ・・・・・」


ハルバート「・・・この蛇矛!?」


メグ「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ハルバート「馬鹿な・・・そんな訳・・・」


ハルバートは遺体の顔を凝視する。


ハルバート「・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


彼は大佐にすがりついた。


ハルバート「何でこんな所で・・・何でだよっ!」


メグ「大佐が・・・死ぬなんて・・・」


ハルバート「・・・(グレッグの体に埋まっている銃弾を1つ抜き取る」


メグ「え・・・この弾丸・・・
  青雷銃専用の・・・」


ハルバート「さては・・・カルロスめ!!」


メグ「カルロスが・・・そんなことするはずないよ・・・」


ハルバート「そう思いたい・・・でも・・・」


ウィィィィィィィィィン


メグ「!?」


ハルバート「・・・危ない!!」


彼はメグを突き飛ばした。
その直後・・・ハルバート影に巨大な物体の影が重なった。


ズバッ・・・


眩い光が辺りを包む。
二人とも一瞬、何が起こったのか分からなかった。
・・・先に状況を理解できたのは・・・ハルバートだった。


ハルバート「・・・不覚・・・(吐血」


メグ「!!」


ハルバート「く・・・」


メグ「・・・・・・」


弾丸は・・・







ハルバートの胸を射抜いた。


ハルバート「こんな所で・・・」


メグ「ハルバートまで・・・いやだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ハルバート「メグ・・・早く逃げてくれ・・・
     そして生き残って、このことを皆に伝えるんだ。」


メグ「ハルバートも連れて行く。一緒に生き残ろうよ・・・」


ハルバート「無理だ・・・もう・・・俺は・・・!!」


ハルバートの網膜に・・・
グレッグの遺体を踏み潰そうとしているマシンの姿が映った。


ハルバート「大佐に・・・手を出すなっ!!」


彼は走り出した。


メグ「あっ!!」


ハルバート「ぐっ・・・(薙刀を地面に突き刺す」


力尽きた彼は・・・セレニウム・ホークの足元で倒れた。


メグ「ハルバート!(駆け寄る」


ウィーン・・・


ハルバート「・・・」


ガシャン・・・


一瞬のうちに薙刀の柄が折れ、
辛うじて刃のみが機械の足が地に着くのを食い止めていた。


メグ「待って!今助ける!」


ギ・・・ギ・・・ギ・・・


ハルバート「必要ない!!」


バキッ・・・


メグ「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


ハルバート「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


~~~~~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~~~~~


ブライアン「いずれその身を滅ぼすだろうな!!」


~~~~~~~~~~~~~~終了~~~~~~~~~~~~~~


ハルバート「ありがとう・・・皆・・・」










ズグァァァァァァァァァン










メグ「・・・(泣」


機械は無情にも・・・グレッグとハルバートを







踏み潰した。







辺りが静かになる。
機械はこの地に見切りをつけたのか、飛び去った。






メグ「そんな・・・(薙刀の刃のかけらを拾う」




その欠片は美しく輝いていた。
まるで涙のように。
かつての平和な時間を思い出させるかのように。




メグ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・(突っ伏して泣く」


* * * * * * * * * * * * * * * *

~~その頃のレグルス~~


レグルス「・・・誰一人いない!!」


彼は焦り始めた。
マグマはもう数十分で山を完全に包み込む。


レグルス「くそ・・・」


ウィィィィィィィィン・・・ガシャン


レグルス「!?」


彼の前に・・・巨大な機械が現れた。


レグルス「何だコイツ・・・」


彼は機械を凝視する。
・・・不気味な赤い目がコアにくっついている。


その目はノーザンバレーでの戦いのときに最終覚醒をする途中であった
メタルセイバーの目そのものであった。


レグルス「最終覚醒形態が機械の魔獣とは・・・」


セレニウム・ホーク「ウォォォォォォォォォォォォォォン!!」


レグルス「・・・戦うしかなさそうだ。


    ここで始末してやる!!」



覚醒の黒き魔獣を相手に、挑もうとしている男がいた。
果たして彼は・・・グレッグとハルバートの無念を晴らすことは出来るのだろうか。


今、激闘が幕を開ける。