中間ストーリー18~歪~
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~~海上基地付近~~
ブライアン「なかなか・・・面白い戦い方だ・・・」
ザトシ「くっ・・・!」
ブライアンの戦い方は普段のものとは異なり、
強力な技や相手の動きを撹乱させるような技を頻発するというもの。
当然、攻勢となったのはブライアンであり、
彼が守勢に回ると思って侮ってかかったザトシはまともに攻撃することすら出来ないでいる。
冷華「おかしい・・・ザトシの戦い方がいつもと違う。
なんか・・・動揺してる感じがする。」
だが傍で見ていたアサシンは早くもあることを見抜いていた・・・
アサシン「・・・違う。
動揺していつもと違う戦い方をしているのはブライアンの方だ。」
彼には分かっていた。
・・・普段なら欠く事のない冷静さ、それが今ブライアンには無い。
ザトシ「俺はまだ負けない・・・思い知らせてやる!!」
ブライアン「・・・いや、もう戦いは終わりだ。」
その時・・・ブライアンを除く全員が驚いたに違いない。
彼が自ら武器を捨てたのだから。
ブライアン「これで満足しただろう。
俺は負けを認めた・・・お前は相対的に勝ったということになる。」
ザトシは落ちた銃を直視する。
その途端・・・今まで張り詰めていたものが突然、緩んだ。
アサシンが甲高い声で叫ぶ。だが俺にその内容は聞こえない。
気がつくと自分の武器を持って目の前の憎むべき敵めがけて突進していた。
俺は勝ったのか?いや・・・負けたのか?
いや、勝ったに違いない。
俺ノ顔ニカカッタ血飛沫ガ答エヲオシエテクレル
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同刻・・・
~~海上基地内部・エリアA~~
マゼンタ「う・・・そ・・・・・」
桃色の炎が織り成す波は不規則な形となり、やがて、散る。
エミー「はぁ・・・はぁ・・・」
マゼンタ「どうして・・・あうっ!!」
口元から血が流れる。
それにエミーが気づいたときにはもう、マゼンタは力なく跪いていた。
エミー「ごめんね・・・こんなことして。」
マゼンタ「・・・いいの。あなたを殺そうとしたのはアタシ達の方。
アタシが弱かったから返り討ちにあっただけ・・・ただそれだけ。」
エミー「結局、あんたは私を殺せなかった・・・どうする?」
マゼンタ「大丈夫・・・もう殺そうとは思わないから。
それより、思い出話でもしない?帝国軍に一緒にいた頃のさ。」
エミー「・・・」
マゼンタはエミーよりも2つ年上だが、帝国軍に加わったのは同じ頃。
だからこそ友達のように気軽に話し合い、他のメンバーから羨まれるほどのチームワークを発揮していた。
しかし・・・皇帝が現れてから別の大隊になり、話すことすらなくなっていた。
・・・そんな中で、皮肉にも、彼女達は殺しあわねばならなくなってしまったのである。
マゼンタ「でもひどいよね・・・皇帝様も。
なんで私達、一緒になれないんだろう・・・」
エミー「・・・」
マゼンタ「これも運命なのよね・・・」
マゼンタの任務は失敗。しかし計画は綿密に練られている。
皇帝は新たな刺客としてマーキュリーを選んでいた。
マゼンタ「・・・逃げて。あんたを殺そうとしてるのは私達だけじゃない。」
エミー「大丈夫。受けて立つよ。
・・・逃げたってどうせ、追ってくるんだからw」
マゼンタ「・・・エミー・・・・・」
マゼンタは突然・・・エミーに抱きつき、胸に顔をうずめて泣いた。
マゼンタ「ごめん・・・私は・・・いつも逃げてばかり・・・
・・・あんたみたいに・・・自分を貫き通す勇気なんてないのよ・・・!!」
エミー「・・・」
マゼンタ「皇帝に殺されたくなかった・・・だから・・・アンタ達を・・・
・・・でも・・・できるわけないよっ!!」
彼女は大声で泣く。だがそれを遮るかのように・・・もう一人、「刺客」が現れる。
マーキュリー「ああそうか、お前には出来ない。
・・・即ち任務は失敗だということだな!!」
紫の服と杖を身につけている小洒落た刺客。
エミー「・・・来たね・・・もう一人。」
マゼンタ「うぅ・・・」
マーキュリー「マゼンタ、お前が無理なら俺が代わりにやる。どけ。」
・・・マゼンタは静かに立ち上がる。
その目はきっとマーキュリーを見据え、口元には笑みが浮かんでいた。
マゼンタ「・・・やだw」
マーキュリー「・・・」
泣きはらした顔が急に明るくなる。
マゼンタ「だって、昔の戦友を殺せるわけないじゃない。
エミーを殺す前にアタシを殺してみたら?アハハハハ・・・」
エミー「マゼンタ・・・駄目、早く逃げて!」
マーキュリー「そうか・・・即ちお前も・・・
帝国を裏切るということか。」
マゼンタ「やっぱすぐそういう発想になるんだね、帝国軍の人間ってww
・・・アタシはこんな集団の中で一生を終えるのは嫌だなww」
マーキュリー「そうか。
・・・もうお前はダリウス様の敵。すぐに抹消しなければw」
マゼンタ「エミー・・・ほんとにごめんね。
・・・アタシ、多分ここで死ぬ。」
辺りが静まり返る。
やがて動揺したエミーがこう切り出した。
エミー「え・・・嘘だよね?マゼンタ・・・
ねぇ・・・ちょっと・・・」
マーキュリー「ヴァイオレット・ザ・ディストーション!!」
エミー「!!」
毒々しい紫色の闇エネルギーが湧き上がる。
彼女を取り巻いていた炎の桜吹雪はもう全て散っている。
何も抵抗することなく、マゼンタは目を閉じた・・・
標的の声は衝撃音に掻き消される
桜の花が咲く季節はまだ遠い。
故にそれが散るべき季節もまだ遠いはずだった。
なのに。
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~~その頃の浩二~~
シャドー「くそっ・・・!」
浩二「案外弱いんだな。そんなんで僕を殺そうとしたの?」
シャドー「・・・呆れたぞ。その甘ったるい考え!
見て分かるだろう。俺はまだ本気を出していない。
つまり今までのは小手調べだったというわけだ・・・」
浩二「・・・何が言いたい。」
シャドー「次の手でお前はこの世から消え去るということだ!」
浩二「はぁ・・・来いよ。」
だがシャドーは何かに気づいたらしく攻撃の姿勢をやめた。
「やめとけよクズ、お前じゃコイツは倒せない。」
シャドー「・・・黙れ、シルバー。」
送られた刺客の四人目。銀の三叉槍を持った男性。
シルバー「相変わらず腐った戦いっぷりだなww
自分の力を過信して相手をなめきっている・・・」
シャドー「フン・・・上から目線気取りやがって。」
シルバー「それが事実だろ?
お前はクズだから俺が代わりに戦ってやろうと言っているんだ、ありがたく思え。」
シャドー「・・・(歯を食いしばる
まあいい・・・負けても吠え面かくなよw」
シャドーは鎌をしまい、浩二の前から去った。
浩二「・・・前にも同じ状況があったな。」
シルバー「その時は俺がお前に勝った。
・・・今回もそうなるに違いない!」
浩二「そう決めつけるのはまだ早いぞ・・・」
シルバー「ほとんど決まったようなものだ。
さあ覚悟しろ愚か者、俺の三叉槍に貫かれるがいい・・・」
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目の前の遺骸を取り巻く闇は未だ消えず。
問いかけても何も答えない。
そのさらに後ろにいる敵の高笑いだけが部屋にこだました。
~~その頃のエミー~~
エミー「マゼンタ・・・」
マーキュリー「どうだ?ww
悲しいか?悔しいか?www
お前は誰一人守れないんだよwww」
歪んだ闇に包まれた遺骸の手をとる。もう温もりは無い。
それを額に当てて、さっきまでマゼンタが生きていたという証を感じようとする。
エミー(ごめんね・・・分かってあげられなくて。)
マーキュリー「面白い泣き顔だ・・・そのツラのまま、死んでもらおうかw」
エミーは瞼を指で拭いながらゆっくりと立ち上がる。
その目はマゼンタと同じようにマーキュリーをきっと見据えていた。
エミー「私だって戦士のはしくれ・・・
・・・泣くのは自分の任務を果たしてから!!」
マーキュリー「ほぅ・・・(杖を構える」
エミー「マゼンタの敵を討つまで私はここを離れない・・・
・・・絶対にあんたを地獄に送ってやる!!」
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~~海上基地付近~~
顔にかかったノハ・・・誰ノ血ダ?
アサシン「・・・!!」
目にかかった赤い血を拭う。
・・・だが。一瞬で状況を理解することはできなかった。
暫く唖然とする。何が起こった?
ブライアン「・・・ぐっ・・・・・(腕を押さえる」
アサシン「ブライアン!大丈夫かっ!!」
・・・見えた。俺の刃は獲物をしとめている。
だが一発で息の根を止めることは不可能だったようだ。
ブライアン「落ち着けアサシン・・・こんなものかすり傷程度だ。
この装甲服を着ていた為か・・・辛うじて・・・貫通はしなかった。」
彼は右腕に刺さっている戟をすぐに抜き取った。
その途端・・・
うつぶせに倒れ、吐血した。
アサシン「おい!!」
アサシンがブライアンの元へ駆け寄る。
・・・その出血量が尋常でないことに気がついた彼。
アサシン「ザトシ・・・ふざけやがって!!」
とっさに、突っ立っているザトシに飛び掛った。
自分のしたことの恐ろしさ、常識では考えられないような事態に気がつき、ザトシは茫然自失している。
なんとか冷華とクリスがアサシンを押し留めたものの、彼は怒りを抑えられない。
アサシン「なんて奴だ・・・失望した!
救援のために呼んだ結果がこれかっ!!」
ザトシ「・・・」
アサシン「何とか言えよ・・・!!」
ブライアン「・・・共通の敵を前にして争うな!!」
全員が、急に立ち上がったその男を振り返った。
・・・途端、彼は力なく倒れこんだ。
アサシン「・・・」
ザトシ「・・・・・・くっ!」
彼は、今やっと・・・自分が怒りという感情に支配されていたことに気がついた。
自分が敵以外の人間を傷付けたことより・・・行動に思考が追いつかなかったことの方が怖かった。
アサシン「・・・とりあえず、お前はやりすぎた。俺の予想をはるかに上回るほどな。」
ザトシ「俺は・・・どうしたらいいんだ・・・」
アサシン「残念だがお前の軽率な行動のせいでブライアンはああなった・・・
・・・俺はあいつが回復するまで外で待機している。
お前が何をすればこの罪を滅ぼせるか分かるよな・・・?」
ザトシ「・・・お前達の代わりに基地内に潜入する!」
冷華&クリス「・・・・・」
アサシン「その通り・・・だが、気をつけろ。
この基地に誘い込んだこと事体、皇帝の罠である可能性もあるからな。」
ザトシ「分かった・・・
・・・心してかかる!!」
アサシン「その意気を忘れるなよ・・・では、頼んだ。」
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死刑執行まで残りおよそ30分。
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その頃・・・あの男達も、意識を取り戻したのだった。
~海上基地内部・エリアC~
真利夫「・・・はっ」
カストル「目が覚めましたか?」
真利夫「ああ・・・あまりいい心地ではないな(立ち上がる」
フォン「これで全員です・・・」
真利夫「・・・3人か。
そして気になったんだがここはどこだ?」
不気味なほど静か。敵の足音もない。
カストル「よくわからない場所ですな・・・
・・・早めに出るに越したことはありません。」
真利夫「そうだな、行こう・・・」
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彼らを待ち受けるのは・・・想像を絶する戦い。
だがこの時彼らは自分達が置かれた状況に気づいておらず、
それに気がつくのは後の話である。
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~~????~~
「これで全員揃ったな。
スパイダー・マンティス・タートル・ドルフィン・・・そして私だ。」
「捕食者のセッティング完了。
帝国軍の死刑執行に合わせ、マシーンを起動する。」
「いいだろう。驚くほど順調だ・・・フ、ハハハハハハハハハ!!」