BGM:nerve(雑音空間)
曲名:Dawn
nerve(雑音空間)

エンディング2~流星~

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~~グレイテンプル・医務室~~


正男の周りに、メグや龍飛、クリス、浩二、ハルバート、そして和差夫などが集まった。
彼等が注目する中、軍医は言った。


軍医「何故だ・・・縫合が出来ん!!
  彼の体が麻酔を拒絶しておる・・・」


ハルバート「馬鹿な・・・」


龍飛「正男はどうなってしまうんですか!!」


軍医「このままでは・・・死に至るだろう。」


メグ「そんな・・・そんなっ!!」


浩二「正男兄さん!!」


正男の容態は先程とは比べ物にならないほど悪くなっていた。


正男「ぐッ・・・く・・・」


クリス「・・・・・・シャイニング・バプティズム!!」


クリスは闇魔力の呪いを消そうとした・・・
だが・・・時既に遅し。
それは正男の傷の痛みを和らげることは出来ても、
傷が広がるのを防ぐことは出来なかった・・・




宵が訪れる。
暫く黙っていた正男は、何を思ったか龍飛を呼んだ。




正男「・・・龍飛。」


龍飛「どうした?」


正男「本当に・・・済まないが・・・俺に・・・残された・・・時間は・・・あと僅かだ。」


龍飛「何言ってんだよ・・・お前はまだ生きられる。」


正男「いや・・・残念だが・・・それは無理だ。」


その言葉に、辺りの人々は驚きを隠せなかった。


正男「死ぬ前に言っておく・・・
  俺が見る限り、お前はこの軍の中で最も強いかも知れん。」


龍飛「そんなことは無い・・・」


正男「いや・・・謙遜・・・しなくて・・・いい。
  そこで、お前は俺の代わりを務めてくれ。」


龍飛「どういう風にだ?」


正男「今までの俺と同じように戦えばいい。
  重要なのは、どんな強敵が現れても怯まないことだ。分かったか?」


龍飛「・・・ああ。」


正男「あと、どんな時にも感情に囚われるな。
  それが相手に付け入られる隙となり、自分の身を滅ぼす・・・
  例えば・・・今日の俺だ。
  怒りに身を任せてしまったが故に敗北を喫し、今のような状態に至った。」


龍飛「いや、お前の戦い方は立派だったよ・・・
  恥ずべきは俺のほうだ。お前を助けてやれなかった・・・」


正男「そんなことは無い。
  ・・・俺が軽率だったのがいけないんだ。」


龍飛「正男・・・」


正男「俺は力不足だった・・・そのせいでナイトメアを倒せなかった。
  だから俺に代わってお前が十二使徒と戦い、奴を倒せ!
  ・・・言えるのはそれだけだ。下がってくれ。」


龍飛「・・・・・・」


正男は暫く黙った後、メグを呼んだ


正男「メグ・・・」


メグ「正男・・・」


正男「・・・・・・ごめんな。
  お前を残して死にたくは無いけれど・・・仕方ないんだ。」


メグ「そんなこと言わないでよ・・・
  ・・・・・・死ぬなんて・・・嫌だよ・・・」


彼女は突然、泣き出した。


正男「泣くなよ・・・」


メグ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ(泣」


メグは正男に抱きついた
正男も彼女を優しく抱きしめた・・・


メグ「どうすればいいの・・・私は・・・」


正男「俺が居なくなっても、いつものように明るく振舞うんだ。
  決して人生の行き先を見失うなよ・・・」


メグ「ええ・・・」


正男「あと、決して・・・俺のことを忘れないでくれよ。」


メグ「わ・・・忘れるわけないでしょっ!!」


正男「それでいい・・・今までありがとな。」


メグ「うぅ・・・ぅ・・・正男・・・(泣」




やがて、空にいくつかの星が現れ始める。




正男「浩・・・二・・・そして・・・和差夫。」


浩二「兄さん・・・」


正男「俺達兄弟は・・・いつも強い絆で結ばれていたな。
  でも今、類似は死に、俺も果てようとしている・・・」


和差夫「嫌だっ・・・兄さん死なないでよ!」


正男「だが俺が死んでも・・・兄弟の絆は消えない。
  天国でお前達をいつまでも見守ってやるよ・・・」


浩二「・・・・・・」


正男「いいか、お前達二人は真利夫兄さんの言うことをよく聞き、しっかりと生きろ。
  そして・・・戦うんだ。
  お前達を守る者は今いなくなる・・・だから自分の身は自分で守れ。」


和差夫「分かった・・・(泣」


浩二「兄さん・・・今まで有難う。」


正男「それに、ハルバート軍曹。」


ハルバート「はい・・・」


正男「君も得意な策略を使って防衛軍の為に戦ってくれ。」


ハルバート「それは承知しております・・・」


正男「あと・・・和差夫を訓練して、一人前の戦士にして欲しい。
  これは俺がお前に望むことの中でもっとも重要だ・・・」


ハルバート「イェス・サー。」





時は既に夜・・・満天の星空。





正男「あと・・・クリス。」


クリス「・・・・・・」


正男「俺の剣をお前にやるよ・・・」


クリス「でも・・・」


正男「いいんだ。お前も光属性の持ち主だろ。
  ・・・これで類似や俺の分も戦ってくれ。」


クリス「うん・・・絶対に類似を満足させて見せる。」


正男「その・・・意気・・・だ・・・がはっ!!(吐血」





正男は血を吐く。
周囲の人々が見守る中、彼は弱々しい声でこう言った。





正男「外に・・・出てみたい。」


龍飛「だがその体じゃ・・・」


正男「倉庫に車椅子があるだろう・・・
  それに乗せてくれ。」


メグ「・・・・・・」


暫くすると、ハルバートが車椅子を運んできた。
龍飛は弱りきった正男の体を担ぎ、車椅子に座らせた。


正男「龍飛、君が押せ・・・
  そしてグレイテンプルの外に出てくれ。
  ついて来たい人だけ来ていいぞ。」


当然、残るものはいなかった・・・
皆正男の後に続き、外に出た。


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~~グレイテンプル・門前~~


正男「ここらで・・・いいだろう。」


夜空には無数の星が輝いている。


正男「綺麗だな。」


龍飛「そうだな・・・」




思えば三賢神による虐殺が始まって以来、心が安らいだことは無かった。

・・・一度として。

正男はしみじみと過去を思い出す。




正男「度重なる戦いで俺の目は曇りつつあったな。」


ハルバート「決してそのようなことはありません・・・
     貴方の判断は的確で、物事の真偽を見抜くのは容易いだろうと
     噂されている程ですから。」


正男「いや・・・
  ・・・この星の美しさに今まで気づかなかったのがその証拠だ。」





死を目前にして心が清らかになったが故に、俺はこのようなことを言うのか・・・

そう考えると・・・彼は落ち着くことが出来た。





メグ「正男・・・」


正男「手に力が入らん・・・ぐっ!(吐血」




彼は一途に正義を信じ、善行を信じ・・・友を信じた人間であった。

・・・真の英雄と呼ばれるに相応しい人物であった。




和差夫「兄さん!兄さんっ!」


軍医「脈拍が下がりつつある。心臓マッサージを!」


正男「いや・・・もういい。」


浩二「そんな・・・」




しかし、その行いも報われず、

失意のうちに最期を迎えようとは・・・





クリス「・・・・・・」


龍飛「正男・・・短い間だけだったな・・・」


和差夫「兄さん・・・一緒に遊ぶ約束だったでしょ?ねぇ・・・(泣」


浩二「僕達はどうしたらいいんだ・・・」


メグ「うぅ・・・(泣」


ハルバート「・・・・・・」







正男「俺が・・・いなく・・・なったら・・・防衛・・・軍の・・・運命・・・は・・・
  お・・・前・・・達の・・・双肩・・・に・・・掛か・・・る・・・ん・・・だ・・・ぞ。
  健闘・・・を・・・・・・祈・・・・・・る・・・」










言い終わるや否や・・・正男の頬を涙が伝った。

次の瞬間・・・








星が堕ちた。

白く明るい流星であった。









まさにその時・・・

彼は忽然と・・・




最後の呼吸を終えた・・・





風が哀愁を奏でる中、




正男は星となって堕ちたのである・・・












軍医「・・・臨終です。」


龍飛「馬鹿野郎・・・・・・」


メグ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(泣」


和差夫「兄さん・・・なんで・・・(泣」





正男の体はゆっくりと・・・

光の塊へと変わっていった。




それはやがて七つに分かれ、彼方の空へ飛び去った・・・





浩二「・・・何処へ行く気なの?兄さん・・・僕達を残して。」





・・・答える筈の男はもうそこにはいない。

ただそこに残されていたのは車椅子のみ・・・




いつもと変わらぬ風景。だが何かが違っていた。



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訃報は防衛軍基地にも伝えられた。

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~~防衛軍基地・医務室~~


ザトシ「正男・・・早く帰ってこないかな。」


その時・・・


ガチャ(ドアが開く


ザトシ「あれ?冷華じゃん・・・ナンノヨウダイ?」


冷華「ザトシ!大変よっ!」


ザトシ「どうした?」


冷華「正男が・・・正男がっ・・・」


彼女はグレッグから知らされたことを全て語った。


ザトシ「馬鹿な・・・嘘だろ・・・?」


冷華「嘘だと思いたいけど・・・」


ザトシ「・・・・・・くっ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~~~~~~~


ザトシ「それでこそ正男だよ。
   さあ、行って来い。ただし・・・必ず帰ってこいよ。」


正男「当たり前だ。・・・約束しよう。
  じゃあな。お前も頑張れよ。」



~~~~~~~~~~~~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~


ザトシ「・・・何でだよぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


ザトシは泣き崩れた。
冷華はただ彼の傍にいて慰めることしかできなかった・・・


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~~そのころのグレッグ~~


グレッグ「何ということだ・・・」


そこに真利夫が現れた。


真利夫「グレッグ大佐!
   正男と類似が死んだというのは・・・本当ですか!?」


グレッグ「・・・済まん。」


真利夫「どういうことだ?答えろ!!」


彼は取り乱しているようであった。


グレッグ「まずは落ち着け・・・
    言おう・・・彼は死んだ。」


真利夫「・・・・・・・・やはりそうですか・・・」


彼はダークキャッスルの方を睨みながらそう言った。
その瞳は普段の、冷静な真利夫のものではなかった・・・


グレッグ「広間に兵士を集めよう・・・」

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数十分後・・・

~~防衛軍基地・広間~~


兵士達「ザワザワヒソヒソ」


カルロス「静まれ!」


グレッグ「諸君に集まってもらったのは他でもない、
    ダークキャッスル攻撃計画の話だ。」


兵士達「・・・・・・」


グレッグ「残念なことに、計画は・・・失敗に終わった。

    そして真に遺憾ながら・・・



    防衛軍の勇士正男と、彼の弟類似を死なせてしまった・・・」



兵士達の間にざわめきが起こる



兵士1「まさか・・・あの正男少佐が・・・」


兵士2「何で・・・」


紅鳳「もう少し彼のことを知りたかった・・・」


和美「・・・・・・」


レグルス「正男少佐ってどんなことをした人?」


カストル「治安維持軍を善に立ち返らせたんだ・・・」


レグルス「ほう・・・」


フォン「あの時彼がいなければとっくに世界は滅びていたろう。
   ・・・しかし今、彼は逝った・・・・・・」


カルロス(正男のためにも・・・俺が防衛軍を立て直さねばな。)


・・・正男の死は防衛軍だけでなく、
十二使徒の連中の心をも寂寥にした。


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~~その頃のナイトメア~~


ナイトメア「この闇粒子の乱れは・・・ww」


牧山「どうした?」


ナイトメア「・・・正男が死んだようだ。」


佐々木「そうか・・・ww」


θ「嬉しいことは嬉しいが・・・寂しくなったな。」


牧山「確かに・・・」


ナイトメア「俺達の計画を妨げることが出来たのは奴だけだったからな。」


佐々木「まあいいさ、これで計画の進行が早くなるだろうww
   奴がいない防衛軍などカスだからなww」


ナイトメア「しかし防衛軍のほかにも脅威となりうる軍がある。
     ・・・新勢力、I・Aだ。」


そう、忘れてはならないのがこの軍"Immortal Army"。

短期間で戦力を拡大し、全世界で最大の軍と化したI・Aは今・・・




万民を恐怖に陥れる、魔の儀式を行っていた。

・・・遂に初代皇帝が選ばれたのである。






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